薔薇王の葬列(菅野文)4巻
話がどんどん進んできました!薔薇王の葬列4巻!
以下、ネタバレを含むあらすじと感想です。
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3巻の最後で、リチャードはバッキンガム公爵からリチャード自身が王になる可能性を知り動揺していました。4巻に入り、そんな迷うリチャードの元へ父の幻が出てきます。
「リチャード 私の名を残せ 王の名だ」
※お父さんの名前もリチャードさんですよ!
そこへ前王ヘンリーを捕らえたという知らせが入ります。リチャードは父の敵を討つため駆けつけるのですが、扉越しに聞く前王ヘンリーの声が羊飼いのヘンリーと似ていると気づきます。ついにヘンリーの正体が…!と私が盛り上がったところで、兄エドワード王の登場。彼に敵討ちを止められ、頭を冷やすためにリチャードはウォリック伯の城に送られます。
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リチャードは羊飼いのヘンリーに自分が恋しているんではないかと怯えます。自分は女ではない、男なんだと必死に信じたいリチャード。痛々しいです…
しかしウォリック伯の長女アンと過ごすうちに、リチャードは彼女といると心が穏やかになることに気づきます。自分を自分でいさせてくれると。彼女は自分の母とは違う、と考えるようになります。
そんな中で、ウォリック伯はアンにもっとリチャードを誘惑し夢中にさせるように指示します。リチャードとアンを結婚させて利用するつもりだと言うウォリック伯に対して、アンは反発します。
「それなら絶対に結婚なんてしない…」
「リチャード様と結婚なんてしないわ…!」
(…だって本当に……本当にリチャード様が大好きだから―――)
そうです。漫画好きならお察しのとおり、リチャードはアンのセリフを聞いてしまいます。でももちろん心の声までは聞けません。傷つくリチャード…もう見ているこっちが辛いです…早くヘンリーが慰めてあげて…
一方、前王ヘンリーの妃マーガレットはフランス王に助けを求めます。そこへウォリック伯があらわれ、なんとマーガレットに忠誠を誓います!びっくり!さらに前王ヘンリーを再び玉座へ戻すことを約束します。
彼女はその言葉に嘘がないことを証明するために、ウォリック伯の長女アンを、前王ヘンリーとマーガレットの息子であるエドワード王子の妻とすることを要求します。う~ん!さすがに抜け目ないですね!彼女!
その頃、ヨーク家ではエドワード王の妃となったエリザベスが女の子を出産します。その陰でリチャードの次兄ジョージ王子が、お世継ぎが生まれれば自分の次期王としての立場がなくなると、焦ります。ウォリック伯とその次女イザベルは、ジョージ王子とイザベルが結婚する代わりにネヴィル家の力を貸してジョージ王子を王座に就けることを目論んでいました。ジョージ王子はこの提案に乗り、エドワード王にイザベルとの結婚の許しを請うていますが、エリザベスの反対で許可が出ません。
ウォリックの真意はわかりませんが、前王ヘンリーを王の器ではないと思っているので彼を玉座に戻すというのは嘘八百のようです。そのウォリック伯がフランスからイングランドへ帰る際に、エドワード王子が付いてきます。エドワード王子はウォリック伯の城にいるリチャードに会いたいのですが、ウォリック伯は長女アンに会いたいのだと勘違いします。
リチャードと再会したエドワード王子はアンがリチャードに心を寄せていると気づきます。リチャードはアンに裏切られたと思い込んでいるので、彼女に冷たく接してエドワード王の元へ帰ります。
その後、エドワード王とリチャードは反乱軍を制圧するため出陣します。この反乱はジョージ王子とウォリック伯の指示で行われたものなんです。でもエドワード王はまさかこの二人に裏切られているとは思わず余裕の油断です。一方リチャードは、この戦にジョージ王子とウォリック伯がいないことを怪しみます。
夜中に敵襲にあったため、リチャードは娼婦のテントに逃げ込みます。リチャードを探しにきた敵兵に女と思い込ませて逃げようとしますが、乱暴されそうになる。
あわやリチャードの貞操の危機…!
しかし、まさかまさかのケイツビーが颯爽と登場!
え~!?彼は美味しいところ持っていきますね~!
場面が変わって、襲撃で捕らえたエドワード王を手酷く扱いながらウォリックは彼告げます。
「お前はもう私の王じゃない」
「お前には王国を治める資格がない」
「だから 私は王国を取り戻す」
「ジョージ様こそが真の王であり 私はその臣下だ」
エドワードお兄ちゃん、ショックです。
そしてケイツビーと逃げ延びたリチャードのモノローグです。
「――王たる自覚のない男 王たる資格のない男――
そのどちらも玉座にふさわしくない」
「だとしても――
ウォリック お前にだけは…お前に王国は渡さない――」
ケイツビーを連れ、エドワード奪還に出発して4巻が終わりです!
アンに裏切られたと思い、傷ついたリチャードが夢を見る場面があるんですが…
リチャードの、ヘンリーにだけは嫌われたくない、裏切られたくないという強い思いが伝わってきます(涙)
そこでまた父の幻が出てきて、リチャードを傷つける者も愛する者もいないという、リチャードだけの『王宮』へ招きます。その後、リチャードはこの自分だけの『王宮』という夢想に取り付かれているようなのですが、これは今後玉座を目指すという伏線?
原案のシェイクスピアを読んでいないので、ドキドキです。
とにかく登場人物それぞれの思いが交錯する4巻でした。リチャードが自分の中で追い詰められていますが、救いがあらわれるのでしょうか…
薔薇の葬列5巻を待ちます! スポンサーリンク