金の国 水の国
「このマンガがすごい!2017オンナ編 第1位」の帯につられて購入しました。「町でうわさの天狗の子」以外で初めて岩本ナオ先生の作品を読みます。
以下、ネタバレ含む感想です。
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お話は、諍いの絶えない隣国のA国とB国が友好のために縁組をするところから始まります。それは、A国からは国で一番の美女を嫁にやり、B国からは国で一番賢い青年を婿にやるというものでした。
そうしてA国の姫サーラの元に、B国で一番賢い青年が婿にくるはずが…輿の中身は犬!!一方でB国の若者ナランバヤルの元には、A国で一番の美女が嫁にくるはずが…輿の中身は猫!!なんとA国の王様は猫を、B国の族長は犬を送るというケンカ上等の大人げない行動に出ていたのです。仲悪いです。
そんなことは知らずに、国境付近で偶然サーラとナランバヤルは知り合います。この時点でヒーロー役のナランバヤルさんは、ボサボサ頭&不精ひげのお世辞にもイケメン風ではないんです…なんか風来坊って感じです。不安になるイケメン好きの私…この漫画に萌えは訪れるのかしら…
その後、サーラが来るはずだった婿の代役をナランバヤルさんに頼んだことによりどんどん2人の仲は近付きます。
設計技師であり聡明なナランバヤルさんは、砂漠の中にあるA国の水がほとんど枯れていることに気付きます。豊富な水に恵まれたB国からA国へ水路を引けるように、A国とB国の国交正常化に向けて奮闘します。
この辺りから着々とナランバヤルさんがイケメンになっていきます。気のせいではありません。ビフォーアフター並みです。
ナランバヤルさんに「お嬢さんが生きている間にA国を水に困らない国にしてえんだ」と言われ、サーラもときめきMaxのご様子です。
A国とB国の国交を開こうとするナランバヤルさんは、A国内の開戦派に命を狙われたりします。したたかに事態を切り抜けたり、他の人を味方に巻き込んだりするナランバヤルさん。イケメンで賢くて素敵です。
一方でヒロインのサーラが、おっとり(ぽっちゃり)ふんわりで守ってあげたくなる雰囲気なのがまた面白い対比です。いかにもお姫様って感じ。
A国とB国の国交を開いて水路を作るために、サーラは何も実質動いていないような?最後の隠し通路を開く手伝いをしたぐらい…基本的にナランバヤルさんのことを待っているお姫様です。でもナランバヤルさんのことを悪く言われたら、相手のケンカを買ったりします。随所で芯の強さが見られて嫌味じゃないです。
また画面が作りこまれていて、作品全体の完成度が高いです。サブキャラたちの描写もあり、皆それぞれの思いが交錯する様子が描かれています。
そんなこんなで、「このマンガがすごい!2017オンナ編 第1位」というのは納得の大人が読んでも面白い手の込んだ作品でした。知能戦あり、胸キュンあり、感動あり、大満足です。